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2011年02月27日
急増するMBO
弁護士の富田です。
少し前の記事になりますが、本年2月19日(土)の神戸新聞の記事によると、MBOが今年に入ってすでに6件行われており、過去最多だった平成19年及び平成20年の15件を上回る勢いとのことです。
MBOとは、簡単に説明すると企業の経営陣が自社の株式を株主から買い取ることをいいます。企業の非上場化を目指すときなどに行われます。
このMBOには、上場を維持することによるコストの削減や市場による短期的な圧力を回避した長期的視野に基づいた経営の実現等のメリット等があるとされおり、一定の意義を有していることは否定できません。
しかし、このMBOには多くの問題点が存在することも事実です。
まず、MBOに際しては全部取得条項付種類株式を用いて少数株主を会社経営から締め出すということが行われます。これは、安定して株式を保有し続けたいと願う株主の願いを無視するものですし、自分が希望していないのに株主としての地位を奪うことがそもそも許されるのかという根本的な問題があります。
この問題を措いたとしても、MBOに際しては、取締役は株主から株式を買い取る立場にあることから、出来る限り株式を安く買い取ろうとします。そのため、株式の取得価格を引き下げるべく業績の下方修正等を行う危険性があります。
また、株主と取締役との間には会社経営に関する情報について大きな格差が存在しています。そのため、株主としては、買取価格が妥当であるのかどうかを確かめることは極めて困難です。
私が所属している株主の権利弁護団では、株主の立場からこのMBOの問題に取り組んでいます。
株主の権利弁護団のホームページ(http://kabunushinokenri.com/)をご覧になれば、MBOの問題点についても詳しく書かれています。
また、当事務所の加藤弁護士が昨年9月に朝日新聞のウェブマガジンである「法と経済のジャーナル」にMBOの問題点について詳しく書いてありますので、詳しいことをお知りになりたい方はそちらを参考にして下さい。
これからもMBOには大きな関心を持っていきたいと思います。
投稿者 staff : 2011年02月27日 17:41