« 2011年09月 | メイン | 2011年11月 »
2011年10月14日
MBOをめぐる新制度
弁護士の富田です。
少し前の記事になりますが、10月4日(火)から7日(金)までの4日間にわたり
朝日新聞夕刊の「経済ナビゲーター」でMBOに関する記事が連載されていました。
MBOとはどのようなものであるのかといった基本的なことから始まり、MBOの抱える
構造的な問題点、MBO実施後に再上場した会社のことなどがコンパクトに分かりやすく
説明されています。
興味深かった内容としては、現在法務省がMBOをめぐる新制度の創設を検討している
とのことです。特に、MBOの差し止め請求権など少数株主に対して一定程度配慮した
法改正を検討しているようです。
これまで、MBOに際しての株主保護といえば、株式買取といったように専ら事後的な
経済的救済のみが論じられており、事前の救済手段については必ずしも十分に論じられては
きませんでした。MBOの事前差し止めを真正面から認める制度もなく、事前的な救済手段は
かなり脆弱なものであったといえます。
しかし、株式を長期にわたり安定して保有し続けたいという株主も相当数存在するでしょうから、
MBOに際して正当な価格さえ支払えば株主を会社経営から締め出して良いということにはなら
ないはずです。
現在のところ法務省が検討している新制度の内容がどのようなものになるのかは明らかではありませんが、今後の動向には注目する必要があります。
2011年10月04日
MBO急増の原因?
弁護士の富田です。
ZAITENの2011年11月号では、「弁護士『若手の逆襲』」と題する特集記事が30頁以上にわたって組まれていました。
弁護士急増に伴う新人弁護士の就職難や法科大学院が抱える様々な問題点等については、他の雑誌やテレビなどでも特集が組まれていますので、ご承知の方も多いと思います。
ただ、今回の特集記事はそれよりも一歩踏み込み、平成12年に日弁連が弁護士増員政策を容認するに至った際の事情や弁護士増員とともに拡張する大手法律事務所の現状などについても書かれており、読み応えのあるものでした。
興味深かったのは、「『上場企業非公開化』で稼ぐ大手法律事務所“金脈”の軌跡」と題する記事です。上場企業の非公開化(MBO)が急増していることやその問題点等についてはすでに今年2月の私のブログでもふれました。この記事では、リーマンショック以後MBOが増加している原因について興味深い分析がされています。
また、同じ記事の中で「TOB阻止 完全対策マニュアル」(仮)という本が今年の11月に出版予定であるとの記載もありました。そちらの方も是非読んでみたいです。
詐欺被害にご注意
新聞報道によれば、兵庫県下の今年1~8月
における、未公開株やギャンブル必勝法詐欺
による被害総額が、約5億4700万円であり、
全国の都道府県で最多だったそうです。
最近は、詐欺の手口も巧妙化しており、
未公開株を高値で買い取るという電話が
あった後に、未公開株の販売勧誘があり、
未公開株を購入してしまうという「劇場型」
詐欺や、被害回復をうたって未公開株を購入
させる「被害回復型」の詐欺も横行しています。
このような被害救済のために、裁判や
口座凍結などの措置をとって、一定の
被害回復が図れることもありますが、
やはり、儲け話には罠があると考えて、
詐欺に遭わないことが、大切です。
弁護士 加藤昌利
2011年10月02日
提携リース被害について
この土曜日に、千葉で、提携リース被害に関する
弁護団の全国会議があったので、出席させて
いただきました。
最近トラブルが増加している被害に「ホームページ
リース」の問題があります。
典型的なパターンとしては、ソフトをリースすれば、
ホームページは無料で製作するという謳い文句で
リースを勧誘しながら、結局、ホームページは
未完成のままで、勧誘業者とは連絡も取れなくなり、
リース料の支払いだけ残るというものです。
ホームページが未完成だと苦情を述べても、
リース会社は、勧誘業者が悪いのであって、リース
会社は無関係だと言って、取り合ってくれません。
こういった被害について、リース会社に対して、
どのような法的主張ができるのかというテーマで、
発表がありました。
兵庫県でも今年の4月に弁護団が結成されており、
当事務所も弁護団の一員として活動していますが、
ホームページ関連の相談も見受けられます。
提携リース被害は、未だ撲滅されておらず、
撲滅のための粘り強い活動が必要だと思います。
弁護士 加藤昌利