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2012年06月12日
司法試験短答式試験合格発表
弁護士の富田です。
先週6月7日に司法試験短答式試験の合格発表があったようです。
私が合格した旧司法試験のときにも、この短答式試験は存在していました。
短答式試験とは、大学入試でいうところのセンター試験のようなものです。
私が受験していたときには、短答式試験は毎年5月の第2日曜日(つまり母の日)に行われ、これに合格しなければ7月に行われる論文式試験に進むことはできませんでした。
私は大学3回生のときに初めてこの短答式試験を受験して以来3年連続で短答式試験に落ちてしまいましたので、3年連続で母の日に親不孝をしていたことになります・・・。
そのことは措いたとして・・・、今回の試験結果で特徴的なのは予備試験合格者の短答式試験合格率が非常に高いということにあります。
予備試験というのは、法科大学院(ロースクール)を卒業しなくても新司法試験の受験資格を得ることができる試験であり、現在の制度のもとでは文字どおり予備的な制度であると位置づけられています。
ところが、その予備試験合格者85名のうち84名が今年の短答式試験に合格しました。これは、どの法科大学院よりも高い合格率になります。
本当にこの予備試験を予備的な制度と位置づけて良いのか、法科大学院の卒業が司法試験の受験資格として本当に必要なのか、この結果を見る限りそのような疑問を感じざるを得ません。
2012年06月01日
法科大学院廃止に6割の弁護士が賛成
弁護士の富田です。今日から6月です。これから暑くなりそうですね。
ところで、報道によれば有志の弁護士でつくる任意団体「法曹人口問題全国会議」が、全国の弁護士を対象に、法科大学院についてのアンケートを実施したところ、約6割が法科大学院の「廃止」に賛成しているようです。
法科大学院とは、「日本版ロースクール」ともいわれます。いわゆる司法制度改革の一環として導入された制度です。この制度のもとでは司法試験を受験しようと思えば、原則として法科大学院を卒業しなければなりません。
この法科大学院制度は、旧来の司法試験があまりにも難しいために、受験生が大学に行かず司法試験予備校に行くことにより受験テクニックに走っているとの批判を受けて導入された制度です。
しかし、受験生が大学に行かず司法試験予備校に流れていたのは、法学部の授業が機能していなかったからであり、原因はひとえに大学の側にあります。また、司法試験が試験である以上、受験テクニックが必要であることは、いわば当然のことであり特段責められることではありません。
このようなことから法科大学院は導入に至った経緯からして合理性のないものだったといわざるを得ません。
現に法科大学院で質の高い教育が達成できているかというと、上述のアンケートでも7割の方が「達成していない」「あまり達成していない」と回答しています。
加えて、この制度の問題点として、司法試験の受験資格を得るまでに多額の費用と時間がかかるということです。私たちが合格した旧司法試験制度のもとでは大学の3回生や4回生在学中に司法試験に合格することも可能でした(私は合格できませんでしたが・・・。)。ところが、この制度のもとではどれほど優秀な方でも2年ないし3年間は法科大学院での勉強を余儀なくされてしまいます。この間の法科大学院の学費も決して軽視できない額になっています。
また、私たちが合格した旧司法試験制度のもとでは仕事を続けながら司法試験を受験するということが可能でした。現に合格まで仕事をしておられた方もたくさんおられます。ところが、法科大学院制度のもとでは、夜間大学院が極端に少ないこともあり、仕事を続けながら司法試験を受験するということは事実上不可能になっています。
このような理由から法科大学院への志願者減少に歯止めがかかっていません。
約6割の弁護士が法科大学院の廃止に賛成するというのも、もっともであると思います。
法科大学院卒業を司法試験の受験資格としないなどの制度改正が早急に必要であると思います。