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2012年11月12日
東電OL殺人事件無罪判決②~証拠開示~
弁護士の富田です。
前回に続いて東電OL殺人事件無罪判決から思うことについて書きたいと思います。
前回のブログでも述べたとおりこの事件は日本の刑事司法の持つ様々な問題点を浮かび上がらせた事件であったといえます。
今日はそのうちの一つである証拠開示について書きたいと思います。
現在の日本の刑事訴訟法では、検察官が持っている証拠について、全面的には弁護人に開示しなくても良いということになっています。しかし、検察官手持ち証拠のなかには被告人に有利なものが含まれていることもあり、これらの証拠が早期に開示されていれば無罪の発見がより早まったであろうといえる事件はいくつもあります。
本件でも元被告人以外の第三者の関与を疑わせる証拠が事件当時から存在したにもかかわらず、これらの証拠が弁護人に開示されるまでに時間を要したことから無罪の発見が遅れたといわれています。
刑事訴訟法の改正で公判前整理手続が導入され、証拠開示の幅は以前よりは広がりましたが、それでも全面的証拠開示にはほど遠い状況です。
本来、税金を使って集めた証拠について捜査機関が独占して良いという理由はないはずですが、そのような当然のことがなかなか認められません。
本件を受けて、検察官手持ち証拠の全面的開示か、少なくとも検察官手持ちの全証拠のリストくらいは弁護人に開示させるという法改正が必要であると考えます。
投稿者 staff : 2012年11月12日 22:54