2016年05月11日
MBOをめぐる大阪高裁平成27年10月29日判決
弁護士の富田です。
私が弁護団の一員として関与したMBO(マネジメント・バイアウト)をめぐる株主代表訴訟の控訴審判決(大阪高裁平成27年10月29日判決)が判例時報2285号(平成28年4月21日号)に掲載されています。
興味のある方は是非お読み下さい。
2016年05月02日
経済同友会の政策提言
弁護士の富田です。
企業経営者の集まりである「経済同友会」という団体が今年の3月31日に「経済同友会政策提言要覧2015」と題する政策提言を出しています。詳細については経済同友会のホームページから見ることができます。
その中に司法制度についてもいくつか提言がなされています。
憲法裁判所の創設等傾聴に値する提言もある一方で法曹養成制度について以下の提言がなされていることは看過できません。
「法科大学院でのプロセス教育や法曹養成制度改革の基本理念を否定する予備試験は廃止する。」(以下、「提言①」といいます。)。
「司法研修所の機能は、裁判官や検察官の養成に特化する。」(以下、「提言②」といいます。)
提言①については、要するに法科大学院制度を温存させるために予備試験を廃止しようとするものです。法科大学院制度の問題点についてはすでにこのブログでも何度も取り上げてきました。「法曹養成制度改革の基本理念」として語られている「プロセス教育」なるものが旧司法試験制度に対する悪意のあるレッテル貼りから出たものに過ぎないことについても先日のブログでも書いたとおりです。提言①は、このような問題点の多い法科大学院制度を温存する一方で、受験資格に制限が無く誰もが受験できて公平性・多様性という旧司法試験制度の良さを引き継いだ予備試験を廃止しようとするものであり到底容認できるものではありません。
しかしそれよりも問題が多いのが提言②です。
提言②は、弁護士の養成と検察官及び裁判官の養成とを分離するものであり、戦後の統一修習という理念を真っ向から否定し、我が国の法曹養成制度を戦前の制度に戻すことを目指すものです。
統一修習制度のもと、私たちは弁護士志望であったとしても検察官や裁判官の実務を経験しました。これは一見すると無駄のように思えるかも知れませんが、相対立する当事者や裁判官の仕事、思考過程を経験することで弁護士としての仕事に生かすことができます。
このような統一修習という理念を捨て、我が国の法曹養成制度を戦前の制度に戻すことを目指すとは時代錯誤も甚だしいと思います。
2016年04月14日
一発勝負の弊害??
弁護士の富田です。
今日も法科大学院制度のことについて書こうと思います。
法科大学院制度の導入に際して、よく「一発勝負で合否を決めるのは良くない。法科大学院をつくって『プロセスによる法曹養成』を行うべきである。」ということが言われました。
しかし、従来の法曹養成制度は本当に「一発勝負」と呼べるものでしょうか??
まず、旧司法試験に合格するためには、毎年5月から10月にかけて約半年にわたって行われる3回の試験に合格しなければなりません。
まず5月に行われるのが短答式試験で、これは大学受験でいうところのセンター試験のようなものです。
短答式試験に合格した者のみが7月の論文試験に進むことができ、自らが書いた答案を採点者に読んでもらう機会を得ます。
そして、論文試験に合格した者のみが10月に行われる口述式試験に進むことができます。口述式試験は、受験生1人につき2名の司法試験員(著名な学者や司法研修所の教官等の実務家で構成されています。)から様々な質問がなされます。法律を理解せずに各論点のみを丸暗記していたのであれば、万が一論文試験を乗り切ったとしてもここで理解不足が露呈します。この口述式試験でも100名近い受験生が不合格となるため決して気を抜くことはできません。かつ口述式試験の母集団は、いうまでもなく全員が論文試験を合格した猛者です。
このようにして旧試験では、約半年にわたって3回行われる試験全てに合格した者のみが法曹となる資格を得ることができました。
このようなことからも分かるとおり、旧司法試験は決して「一発勝負」ではなかったのです。
そして司法試験に合格した後は、現在の制度よりも期間が長く(私たちのときは1年半でした。)、給費制の下での司法修習を受けることができていました。またほぼ全員が法律事務所に就職することもできていましたから、オンザジョブトレーニングを受けることもできていました。
旧来の制度のもとではこのような「プロセス」を経て法曹が養成されていたのです。
仮に、旧司法試験が「一発勝負」であれば新司法試験も1回の試験の点数で合格者を選抜するのですから「一発勝負」になるはずです。むしろ、新司法試験は短答式試験と論文式試験を同時に実施し、かつ口述式試験もなくなったのですから、より「一発勝負」の色彩が増しているとさえいえます。
「旧司法試験は一発勝負により司法試験の合否を決めるものであり良くない制度である。」というのも旧司法試験に向けられた悪意のあるレッテル貼りといわざるを得ません。
2016年03月16日
日本弁護士連合会(日弁連)臨時総会③ ~旧司法試験制度の弊害?~
弁護士の富田です。今日も引き続き日弁連の臨時総会について書きます。
先日の臨時総会の場において、1号議案及び3号議案に賛成する意見の中に、何度か「旧司法試験制度がもたらした弊害の反省のもとに法科大学院制度が誕生したのである(だから旧司法試験制度に戻すようなことはしてはならない。)。」という言葉が用いられていました。ここにいう「旧司法試験制度の弊害」とは何かについて聞いていると、例えば「旧司法試験制度では司法試験予備校が隆盛を極めており、司法試験受験生が大学の講義に出席せずに予備校の講義ばかりに出席していた。」といったものです。
この類の批判は法科大学院制度が議論されていた平成12年ころから存在しており、法科大学院制度創設の理由になったことは間違いないと思われます。
しかしこれらは本当に「弊害」と呼べるものでしょうか?私はここに旧司法試験制度や司法試験予備校に対する悪意のあるレッテル貼りがなされているように思えてなりません。
確かに旧司法試験制度の最後ころには司法試験予備校が隆盛を極めており、ほぼ全ての合格者が何らかのかたちで司法試験予備校を利用していました。私も入門レベルの講座から司法試験予備校を利用しはじめ、最終合格するまで利用していました。大学で勉強していた時間より司法試験予備校で勉強していた時間の方が長かったように思います。
しかし、これは大学における法学教育が機能していなかったからに他なりません。
私が大学に在籍していたころは、大学教員の仕事はまずもって研究に重きが置かれており、教育は二の次という扱いを受けていたように思います。私が大学で受講した講義でも、教授が自らの書いた教科書を持ってきて、それをただひたすら棒読みしていくだけという講義が当たり前のように行われていました。そんな講義を聴いただけでは司法試験に合格できるはずがありません(もちろんなかには教育に力を入れている教授も一定数存在したことは事実ですが決して多数派ではありませんでした。)。
これに対して司法試験予備校でそのような講義をしていたのでは即座に受講生からクレームがありますし、そもそもそんな講義に受講生が集まるはずがありません。司法試験予備校の講義は法律の基礎から体系立てて講義してくれる分かりやすいものだったと記憶しています。そのため必然的に大学の講義で司法試験の勉強をするよりも司法試験予備校を利用する受験生の方が多かったのです。
このような従来の大学での法学教育の反省をすることなく、「司法試験予備校は悪であり大学教育こそが正しいのだ。」という前提のもとに法科大学院が創設されたのです。
また、「司法試験予備校での教育は、論点毎の論証の丸暗記などの受験技術のみに偏っており安直な教育しか行っていない。」というのも当時よく聞こえてきた批判です。先日の臨時総会の場でも旧司法試験の受験経験もある法科大学院出身の弁護士が「自分は旧司法試験受験生だったころには司法試験予備校で論証をただ丸暗記していた。法科大学院に通うようになって何故その論点が出るのかを考えるきっかけとなった。」と述べている方がおられました。これも旧司法試験制度や司法試験予備校に対する誤ったレッテル貼りに他なりません。
確かに、旧司法試験制度の時代には論点毎にあらかじめ論証をまとめておく「論点カード」なるものが存在していました。しかし、それはあくまでも典型論点についてあらかじめ論証を記憶しておくことによって時間を節約し、応用部分について考える時間を確保するために用いられていたのであり、「論点カード」を記憶して再現さえすれば合格できるというものではありませんでした。
旧司法試験の問題は著名な学者・実務家が1年かけて議論を重ねて作成した良問であり、決して典型論点の丸暗記だけでは対応できない「ひねり」の部分が必ず存在していました。また論文試験の6科目12問の中には、必ず考えたことのない問題が存在しており、丸暗記のみで対処できるものではありませんでした(この傾向は今でも変わっていないと思われます。)。
そのため、この「ひねり」にどのように対処するのかというのが重要であり、その法的思考能力を身につけた者から合格していたのです。現に私が司法試験予備校で受けた講義でも「論点カードを暗記して再現するだけで司法試験に合格できる。」などということを言う講師はいませんでした。
このように法科大学院制度は旧司法試験制度に対する誤った認識から出発したものといわざるを得ません。
2016年03月15日
日本弁護士連合会(日弁連)臨時総会② ~3号議案~
弁護士の富田です。
3月11日の日弁連の臨時総会での結論についてはすでにこのブログでお伝えしましたが、今日のブログでは当日に1号議案の修正案として出された3号議案のことについて述べようと思います。
3号議案の内容はおおむね以下のとおりです。
①1年間の司法試験合格者数を1500名「以上」とし、現在の年間1800名の水準を急激に減少させないこと。
②法科大学院制度について奨学金をより充実させ、予備試験については「制度趣旨を踏まえた運用」を行うこと。
③司法修習生に対する給費制を復活すること。
この3号議案は、主として法科大学院で教鞭をとっている弁護士や法科大学院を卒業した弁護士で提案されたものです。この3号議案と1号議案の最大の違いは、1年間の司法試験合格者数の「1500名」というのはあくまでも「下限」であり、最大1800名程度まで合格させる余地を残すというものです。
3号議案の提案理由やそれに賛同する意見の中で繰り返されていたのは、「法曹志望者数をこれ以上減少させないために」というフレーズでした。要約すると「司法試験合格者数を減少させて司法試験を難しくすれば法曹を目指す方が躊躇して法曹志望者数が減少してしまう。だから急激に司法試験合格者数を減少させてはならないのだ。」というところでしょうか。
しかし本当にそうでしょうか?
実は司法試験の競争が今よりも激しかった旧司法試験時代(合格率は2パーセントから3パーセントの間でした。つまり100人受験して3人も合格しないという試験だったのです。)の方が志願者数は多かったのです。
私が初めて司法試験を受験した大学3回生のとき(平成10年)には、司法試験出願者数は3万人を超えました。そこから出願者数は年々増え続け、私が合格した平成15年にはついに5万人を超えました(因みにここ数年の司法試験出願者数は1万人を割り込んでおり、私が合格した年の5分の1以下の出願者数になっています。)。
このことから見ても「試験が難しければ志願者数が減少する。」という論理が明らかな誤りであり、むしろ逆であることが分かると思います。
後輩である司法試験受験生のことを思うのであれば、むしろ合格者数を抑制し、全員が就職できてオンザジョブトレーニングを受けられる環境を整えることこそ重要だと思います。
3号議案の提案理由やそれに賛同する意見を聞いていて一番感じたのはこの前提が抜け落ちているのではないかということでした。
なお、この3号議案は反対多数で否決されました(私も反対票を投じた一人です。)。
2016年03月14日
日本弁護士連合会(日弁連)臨時総会
弁護士の富田です。
多忙のためブログの更新が長期間にわたり滞ってしまいました。申し訳ありません。
久しぶりの更新になります。
先週3月11日(金)は、東京霞が関の弁護士会館において、日弁連の臨時総会が開かれたので出席してきました。
議案は、いわゆる法曹養成制度の改革に向けた議論です。具体的には日弁連として、どのような法曹養成制度を目指していくのかを話し合うための総会でした。
この場において主として二つの議案が議論されました。
ひとつは、日弁連執行部の提案した議案です(以下、「1号議案」といいます。)。内容はおおむね以下のとおりです。
①1年間の司法試験合格者数を早期に1500名とすること。
②予備試験については「制度趣旨を踏まえた運用」を行うこと。
③司法修習生に対する給付型経済支援として「修習手当」の創設を行うこと。
これに対して弁護士有志で提案したもう一つの議案が議論されました(以下、「2号議案」といいます。)。2号議案の内容はおおむね以下のとおりです。
①1年間の司法試験合格者数を可及的速やかに1000名以下とすること。
②予備試験について受験制限や合格者数制限など一切の制限を行わないこと。
③司法修習生の給費制を復活すること。
この二つの議案の違いは大きく分けると以下のとおりです。
①1年間の司法試験合格者数を何名とするべきかということ(1号議案は年間1500名、2号議案は年間1000名以下としています。)
②予備試験の取扱いをどうするか(1号議案は予備試験は「制度趣旨を踏まえた運用」を行うべきとしています。2号議案は予備試験の受験資格制限を行うべきではないとしています。)
厳密に言えばこの他にも「司法修習生の給費制復活」と「『修習手当』の創設」の違い等細かな相違点はありますが、今回は省くことにします。また当日は1号議案の修正案として3号議案や4号議案も提案されましたがこれについても今回は省略することにします。
結論としては、1号議案が賛成多数で可決され、2号議案は否決されました(可決された決議文については日弁連のホームページで見ることができます。)。
私は2号議案に賛成していたので、この結論は率直に言って残念だとは思います。
この総会でのやり取りや議案の内容についてはこれからも何度かこのブログで取り上げていこうと思います。
2015年01月06日
新年のご挨拶
弁護士の富田です。
新年あけましておめでとうございます。
私は昨日から通常どおり執務をしています。
今年は暦の関係で年末年始が9連休だったという方も多いのではないかと思います。
昨年は弁護団で取り組んでいる株主代表訴訟のうち1件が和解で解決し、2件については第1審の判決がありました。いずれもおおむね当方の主張に沿った和解・判決であると考えています。判決のあった2件については控訴審に舞台を移すことになりますが、控訴審においても引き続き当方の主張に沿った解決が出来るよう頑張りたいと思います。
また法曹養成制度についても、今年中には法曹養成制度改革顧問会議が予備試験や法曹人口のあり方について何らかのとりまとめを行うのではないかといわれています。予備試験について安易な受験資格の制限が設けられないか、司法試験合格者数が適正な数になるか等注目していく必要があります。
今年もよろしくお願いいたします。
2014年09月16日
平成26年司法試験合格発表
弁護士の富田です。
先週9月9日に平成26年の司法試験合格発表が行われました。
合格者数は昨年より239人少ない1810人になりました。この数字は新司法試験が始まった平成18年以降最少の人数のようです。
すでに司法試験合格者数急増に伴う弊害(新人弁護士の就職難等)が各所で指摘されるようになり、本年4月には自民党、公明党が相次いで司法試験合格者数減少を提言するなど各所からの司法試験合格者数削減を求める声を受けての合格者数削減ではないかと思います。
法務省がこれらの声を受け止めて司法試験合格者数の減員に舵を切ったこと自体は評価できると思います。おそらく来年以降もこの傾向は続き、司法試験合格者数は減少傾向になるのではないかと思います。
問題は今後どこまで司法試験合格者数が減少するのかという点です。適正な年間の司法試験合格者数はおおむね1000人程度というのが私を含む大方の弁護士の意見であり、今後そこまで減少させることが必要になると思います。
また、今後司法試験合格者数を減少させた場合に法科大学院をどうするのかという点も問題になります。法科大学院は司法試験合格者数激増に対応するために設立されたものです(もっとも私としてはこの理念を法科大学院が実現できているとは思っていませんが・・。)から、司法試験合格者数が旧司法試験の最後のころのように1500人にまで減少した場合には果たして存続させる意味があるのかは大いに疑問です。
さらに予備試験をどうするのかも問題です。今回の発表でも予備試験通過者の健闘ぶりが際立ちました。予備試験通過者の司法試験合格率は66.8%であり、高い数字になっています。すでにこのブログでもお伝えしているとおり現在予備試験をめぐっては受験資格に制限を加えようという議論もありますが、安易な受験資格制限が行われることのないようにしっかりと監視をする必要があります。
2014年07月16日
会社法改正に関して朝日新聞にコメントが掲載されました
弁護士の富田です。
会社法の改正案が本年6月に国会で成立しました。
この改正案に関連して私のコメントが本年7月11日の朝日新聞経済面(6面)に掲載されました。
すでに会社法改正についてはこのブログでも何度か取り上げましたが、今後ともこの問題には注目していきたいと思います。
2014年05月28日
法科大学院「撤退ドミノ」
弁護士の富田です。
全国各地で法科大学院「撤退」の流れが止まりません。
ここ1週間ほどの報道だけを見ても、四国連合法科大学院や広島修道大法科大学院の「撤退」が決まっています。
また、いわゆる「定評ある法科大学院」においても志願者数の減少傾向が見られます。
昨日の朝日新聞の朝刊でも「法科大学院崖っぷち」との記事が掲載されています。
先日のブログで紹介した予備試験の人気急増とは対照的といえます。
法科大学院制度をこれ以上続ける意味があるのか、真剣に議論するときにきていると思います。
2014年05月22日
「予備試験」人気急増
弁護士の富田です。
業務が忙しくてしばらくブログの更新が滞ってしまいました。申し訳ありません。
今後はできる限り頻繁に更新するようにします。
去る5月18日(日)は「予備試験」が全国8会場で行われました。
現在司法試験は、原則として法科大学院(ロースクール)を卒業した方のみが受験できるようになっていますが、この予備試験に合格すれば、法科大学院を経由しなくても司法試験の受験資格が得られるという制度になっています。
この予備試験は、現在では「例外」という取り扱いになっており、合格率は1%から3%という狭き門です。その代わり、予備試験を突破した方の司法試験合格率は約7割であり、どの法科大学院よりも高い合格率を誇っています。
報道によるとこの予備試験の人気が急増しているようです。
出願者は平成23年の制度実施から3年連続で増え続けており、今年初めて法科大学院志願者を上回ったようです。
ただ、最近ではこの予備試験の人気を受けて、「予備試験はあくまでも『例外』であることから、予備試験の受験資格を制限しよう。」などという議論もあるようです。
予備試験は、学歴等に関係なく誰もが受験することができるという意味で、公平性・多様性という、私が合格した旧司法試験制度の持つ良さを備えた制度です。そのため、この受験資格が制限されることはあってはならないと考えています。
今後、予備試験の受験資格制限をめぐる議論がどうなるのか分かりませんが、安易な受験資格制限が行われることがないよう注意して議論を見守っていく必要があります。
2013年06月03日
朝日新聞「法と経済のジャーナル」
弁護士の富田です。
先週5月27日に、朝日新聞の「法と経済のジャーナル」というウェブマガジンに私が共著で起案した論文が掲載されました。
テーマは「多重株主代表訴訟を制度化する会社法改正案への意見」についてです。
会社法制の見直しのなかで多重代表訴訟が検討されているという話はすでに何度かこのブログでも紹介させていただきました。
今回は、一昨年の12月に出された「会社法制の見直しに関する中間試案」や、昨年8月に出された「会社法制の見直しに関する要綱案」(以下、「要綱案」といいます。)をもとに、現在検討されている多重代表訴訟について批評を行うという形式で論文を発表させていただきました。
要綱案では、現在多重代表訴訟が導入される方向で検討が進んでいます。経済界等から多重代表訴訟に慎重な意見も少なくないなかで多重代表訴訟が導入の方向で検討が進んでいること自体は評価すべきことであるといえます。
ただ、現在の要綱案では多重代表訴訟を提起できる株主が親会社の発行済株式の1パーセント以上を有する株主に限定されている等多重代表訴訟の適用を不当に狭くとどめようという動きになっています。
上記論文ではこのような多重代表訴訟の不当な限定を批判しています。
興味のある方は是非朝日新聞の「法と経済のジャーナル」をお読み下さい。
多重代表訴訟を制度化する会社法改正案への意見
2013年04月16日
「民法改正の真実 自壊する日本の法と社会」(鈴木仁志著、講談社)
弁護士の富田です。
現在、民法(債権法)の「改正」が議論されています。
民法は私法の一般法と呼ばれるとおり、あらゆる私人間の契約の基礎となる法律です。
その「改正」が議論されているとなると国家の一大事業となるはずですが、実は一般にはあまり知られているとはいえません。
また、民法のユーザーである国民や法曹実務家(弁護士や裁判官)の間にも民法を変えて欲しいとの強い要望があるという訳でもありません。そのため、民法「改正」が真実必要であるのかについて疑問を持っている弁護士は私のまわりにも沢山います。
「民法改正の真実 自壊する日本の法と社会」(鈴木仁志著、講談社)は、現職の弁護士が書いた本であり、現在進んでいる民法「改正」に疑問を呈しています。
著者は現在進んでいる民法「改正」は特定の学者が主導したものであり、この「改正」がなされることにより法的安定性・予測可能性が損なわれるなどとして警鐘を鳴らしています。
私も購入して読みましたが現在の民法「改正」の議論状況等について緻密な分析がなされています。
著者は今から10年前にも「司法占領」という小説を出版し、当時進んでいた司法「改革」に警鐘を鳴らしており、先見の明がある方であることが分かります。「司法占領」については最近になって文庫本としても出版されたようなので、そちらの方も読んでみようと思います。
2013年04月09日
判例時報2173号
弁護士の富田です。
私が所属している株主の権利弁護団で取り組んでいる住友電工光ファイバーケーブルカルテル株主代表訴訟で獲得した裁判例が判例時報2173号58頁~で紹介されました。
この裁判は、住友電工の光ファイバーケーブル製品等をめぐるカルテル事件に関して提起した株主代表訴訟なのですが、そのなかで公正取引委員会が所有する文書の一部について文書提出が命じられました。
先例の少ない分野について後の実務に参考になるとの評釈がされていますので興味のある方はご覧下さい。
2013年04月05日
ゴルフ
弁護士の富田です。
先週の日曜日はゴルフに行ってきました。
スコアはというと、
午前(OUT )57
午後(IN)58
の合計115です。
ここ最近はずっと120を切れなかったのですが今回何とか110台でまわることができました。
このままスコアが上昇してくれると良いのですが・・。
2013年04月01日
司法試験合格者数3,000人目標撤廃へ
弁護士の富田です。
暫くブログの更新が滞ってしまい申し訳ありません。
今日から4月ですし、心機一転これからは頻繁に更新しようと思います。
さて、報道によれば法曹養成のあり方等を検討している法曹養成制度検討会議では、司法試験の合格者数を年間3,000人とする政府目標を撤回し、新たな目標は設けないとする方向で検討が進んでいるようです。
平成19年ころから司法修習生の就職難の問題が頻繁に報道されるようになり、現在の年間2,000人の合格者数でも過剰であることが認知されるようになりました。また、最近では現職の閣僚からも司法試験の合格者数を年間3,000人とする政府目標が間違いであったとする発言が見られるようになり、この目標が破綻していることは明らかでした。そのため、弁護士の間では司法試験の年間合格者数を3,000人とする政府目標が達成できると本気で考えていた方は極めて少数だったのではないかと思います。
問題は、以後の合格者数がどの程度になるのかということです。現在の年間2,000人の合格者数でも約2割の司法修習生が一括登録日に弁護士登録できないのですから、大幅に合格者数を減少させなければ問題の解決にはつながりません。このまま年間2,000人の合格者数で推移するなどというのは避けなければならない事態です。
司法修習生が全員就職でき、弁護士としてオンザジョブトレーニングを積む機会を得るためには年間の合格者数は1,000人程度にするべきであるというのが大方の弁護士の意見であり、私も同感です。
2013年02月28日
北海道物産展@神戸大丸
弁護士の富田です。
神戸元町の大丸では今週の月曜日まで北海道物産展が開かれていました。
私は学生時代、北海道を何度か旅行しました。
稚内で最北端の碑を見て「花の浮島」礼文島までフェリーで渡ったことがありますし、網走で流氷を見たこともあります。札幌の雪祭りにも行きましたし、小樽にも行きました。最も気に入っている旅行地のひとつであり、機会があればまた行きたいと思っています。
そのような訳でデパートで開かれている北海道物産展には可能な限り行くようにしています。
今回も様々な店が出店していました。やはり北海道物産展だけあって海産物の出店が多かったです。
今回初めて見たのは「網走ビール流氷ドラフト」というビールでした。これはクチナシの色素を用いて青色に着色されたビールです。青いビールの上に白い泡があるところは海の上に浮かぶ流氷をイメージしているようです。このビールはこれまで買ったことがなかったので今回購入することにしました。どんな味か楽しみです。
2013年01月29日
大学入試「文低理高」の傾向
弁護士の富田です。
現在は大学受験シーズンで受験生の皆さんも最後の追い込みに追われていると思います。今朝のニュースを見ていると、様々な願掛けグッズが受験生の間で大人気のようです。いつの時代も最後は神頼みをしたくなるのが受験生心理というものです。
さて、新聞等の報道によれば今年の大学受験では不況の影響を反映して理系学部の人気が高いようです。その反面、文系は人気低迷が止まらず、「文低理高」の傾向が顕著のようです。そのなかでもとりわけ法学部の人気低下が著しいとのことです。
私が大学受験生だった15年以上前は、法学部は「つぶしが利く」「不況下でも就職に有利」等の理由から文系では一番人気だったのですが、今では東大法学部ですら定員割れする事態のようです。
こうなった原因は法科大学院制度や法曹人口増員の失敗にあることは明らかです。法曹になるのに莫大なお金と時間を要する、司法試験に合格できたとしても法律事務所に就職できるかどうか分からないといった状況のもとでは法学部離れが進むのも無理はないといえます。
司法試験の受験資格から法科大学院卒業という要件を外す、法曹人口を適正な数に改めて法曹(とりわけ弁護士)の魅力を取り戻す、といったことをすぐにでも行わない限り、今後も法学部、ひいては法曹界に人材が集まってくることはないと思います。
2012年11月12日
東電OL殺人事件無罪判決②~証拠開示~
弁護士の富田です。
前回に続いて東電OL殺人事件無罪判決から思うことについて書きたいと思います。
前回のブログでも述べたとおりこの事件は日本の刑事司法の持つ様々な問題点を浮かび上がらせた事件であったといえます。
今日はそのうちの一つである証拠開示について書きたいと思います。
現在の日本の刑事訴訟法では、検察官が持っている証拠について、全面的には弁護人に開示しなくても良いということになっています。しかし、検察官手持ち証拠のなかには被告人に有利なものが含まれていることもあり、これらの証拠が早期に開示されていれば無罪の発見がより早まったであろうといえる事件はいくつもあります。
本件でも元被告人以外の第三者の関与を疑わせる証拠が事件当時から存在したにもかかわらず、これらの証拠が弁護人に開示されるまでに時間を要したことから無罪の発見が遅れたといわれています。
刑事訴訟法の改正で公判前整理手続が導入され、証拠開示の幅は以前よりは広がりましたが、それでも全面的証拠開示にはほど遠い状況です。
本来、税金を使って集めた証拠について捜査機関が独占して良いという理由はないはずですが、そのような当然のことがなかなか認められません。
本件を受けて、検察官手持ち証拠の全面的開示か、少なくとも検察官手持ちの全証拠のリストくらいは弁護人に開示させるという法改正が必要であると考えます。
2012年11月08日
東電OL殺人事件無罪判決
弁護士の富田です。
11月7日(水)に東京高等裁判所において、いわゆる東電OL殺人事件で逮捕・起訴され、いったんは無期懲役が確定した元受刑者に無罪判決が言い渡されました。
この事件は、日本の刑事司法の持つ様々な問題点を浮かび上がらせた事件であったと思います。状況証拠による事実認定や証拠開示等です。今日のブログでは、その問題点の一つである検察官による控訴を取り上げたいと思います。
現在の日本の刑事訴訟法では検察官も被告人(弁護人)と同様に量刑不当や事実誤認を理由として控訴を行うことができます。しかし、これでは一度無罪判決を受けた被告人を再度有罪の危険性にさらすという意味で憲法第39条に違反するという見解が根強く主張されています。諸外国のなかには検察官による控訴を認めていない国も存在します。
この事件で検察官による控訴が禁じられていた場合には、元受刑者は平成12年の一審判決の時点ですでに刑事手続から解放されており、その後無実の罪で服役することもなかったといえます。
この事件に限らず、一審の無罪判決に対して検察官が控訴した結果、控訴審において一審の無罪判決が覆った事件において、冤罪の可能性が根強く指摘されている事件もあります。名張毒ぶどう酒事件や福井女子中学生殺人事件などがそれにあたります。検察官による控訴を制限すべきではないかということについて検討すべきではないかと思います。
もっとも、高等裁判所が無実の被告人を確実に無罪にするのであれば、このような議論をする必要も少なくなるのですが、それがあまり期待できないというのが現在の我が国の刑事司法の悲しい現実です・・・。
2012年11月07日
司法修習クラスゴルフコンペ
弁護士の富田です。
先日、11月4日(日)は司法修習のクラスゴルフコンペが茨城県の宍戸ヒルズカントリークラブで開かれました。
以前にこのブログでも書いたとおり、私のクラスでは毎年6月と11月の年2回、茨城県の宍戸ヒルズカントリークラブで集まってゴルフコンペをしています。
宍戸ヒルズカントリークラブは、日本ゴルフツアー選手権が10年連続で開催されている名門のゴルフ場です。クラブハウス等の設備やコースも大変きれいです。
今回もスコアはともかく(?)、久しぶりに会うクラスメイトもおり、旧交を温めてきました。
次回は来年の6月にまた開催されることが決まりました。
2012年11月05日
関西学院大学学園祭
弁護士の富田です。
先日11月3日(土)は母校関西学院大学の学園祭に行ってきました。
学園祭とあわせて関学同窓会によるホームカミングイベントが行われており、これにも参加してきました。
ホームカミングイベントの目玉企画として、毎年福引き抽選会が行われています。1枚あたり1,000円の福引き券を購入すれば福引きに参加できます(1人5枚まで買うことができます。)。この抽選会は、商品が豪華で、かつ当たる可能性が比較的高いところが特長です。私もこれまで旅行券が当たったり、ゴルフバッグが当たったことがあります。
今年は旅行用のボストンバッグ等があたりました。早速ゴルフや旅行の際に使おうと思います。
来年は何が当たるか、楽しみです。
2012年09月16日
ゴルフ
弁護士の富田です。
先週の日曜日は中学・高校時代の友人と神戸市北区にある北神戸ゴルフ場でゴルフをしました。
このゴルフ場は、昼ご飯にバイキングがあります。ドリンクバーもついて食べ放題・飲み放題になっています。食べ物もシェフが目の前でステーキを焼いてくれるなど本格的です。あまり食べ過ぎると午後からのプレーに支障が出てしまいますのでほどほどにしないといけませんが・・・。
ゴルフ場の近くに神戸三田プレミアム・アウトレットがあるため、ゴルフ客以外(と思われる方)も昼ご飯を食べに来ています。
さて肝心のスコアはというと、午前61、午後63の合計124です。
あまり進歩のないスコアです・・・・。
2012年09月03日
すき家JR神戸駅北店
弁護士の富田です。
先週末の金曜日に当事務所から徒歩1分の場所に、すき家JR神戸駅北店がオープンしましたので、今日早速行ってきました。
これまで私の事務所から最寄りの牛丼屋は事務所から徒歩3分ほどの場所にある吉野家だったのですが、それよりも近いところにすき家がオープンしました。
吉野家の牛丼も好きですが、すき家もメニューが豊富で、かつ丼にミニサイズがあることから小腹が空いたときなどに利用できます。
外食の際の選択肢が広がりました。
2012年08月06日
兵庫県弁護士会取調べの可視化シンポジウム
弁護士の富田です。
先日8月4日に、兵庫県弁護士会主催の取調べの可視化シンポジウムが神戸クリスタルホールで開かれました。私は当日の司会を担当させていただきました。
取調べの可視化については、何度かこのブログでもお伝えしていますが、残念ながら未だ全面的な可視化の実現には至っていません。
このシンポジウムは、「密室での取調べが正義を歪める!今こそ取調べの可視化を!」と題して、衆議院議員の石川知裕さんをお迎えして行われました。
石川さんには、自らが陸山会事件をめぐって東京地検特捜部から受けた取調べの様子を語っていただきました。東京地検特捜部によるストーリーありきの取調べの実態が非常にリアルに語られました。経験した者のみが語ることができる取調べの実態は非常に重みがありました。
最近では裁判員裁判対象事件や特捜部による取調べなどにおいて取調べ状況の録画が広範囲に行われるようにはなってきていますが、一日も早く全面的な可視化を実現する必要があります。
2012年07月17日
マイナビ進学FESTA
弁護士の富田です。
先日、7月12日(木)に大阪市住之江区のインテックス大阪で開催されたマイナビ進学FESTAに参加してきました。
マイナビ進学FESTAとは、株式会社マイナビが高校生を対象に開催したイベントのことです。大学生やそれぞれの職業に就いている人がアドバイザーとして参加し、高校生が進学先やその後の進路のことを考えるための一助にしてもらうために開催されました。
私も弁護士として将来司法の道に進もうと考えている高校生の相談に乗らせてもらおうと思い、友人の歯科医や税理士の先生方と一緒に参加してきました。他にもマスコミや金融、保険関係等様々な職業の方がアドバイザーとして参加していました。
私も高校生のときに弁護士を志しましたが、当時は私の住んでいた地域ではこのようなイベントはなく、高校生のころは弁護士から仕事について直接話を聞く機会は皆無でしたので、今の高校生を少し羨ましいと思います。
当日は、各職業毎にブースを設けて、ブースに来た高校生からの質問に答えるという形式で進められました。私のもとにも将来司法の道に進もうと考えている高校生が何人か来てくださり、様々なことを質問してくれました。
この中から将来司法の道に進む方が出てくれればと思います。
頑張れ!!高校生。
2012年06月01日
法科大学院廃止に6割の弁護士が賛成
弁護士の富田です。今日から6月です。これから暑くなりそうですね。
ところで、報道によれば有志の弁護士でつくる任意団体「法曹人口問題全国会議」が、全国の弁護士を対象に、法科大学院についてのアンケートを実施したところ、約6割が法科大学院の「廃止」に賛成しているようです。
法科大学院とは、「日本版ロースクール」ともいわれます。いわゆる司法制度改革の一環として導入された制度です。この制度のもとでは司法試験を受験しようと思えば、原則として法科大学院を卒業しなければなりません。
この法科大学院制度は、旧来の司法試験があまりにも難しいために、受験生が大学に行かず司法試験予備校に行くことにより受験テクニックに走っているとの批判を受けて導入された制度です。
しかし、受験生が大学に行かず司法試験予備校に流れていたのは、法学部の授業が機能していなかったからであり、原因はひとえに大学の側にあります。また、司法試験が試験である以上、受験テクニックが必要であることは、いわば当然のことであり特段責められることではありません。
このようなことから法科大学院は導入に至った経緯からして合理性のないものだったといわざるを得ません。
現に法科大学院で質の高い教育が達成できているかというと、上述のアンケートでも7割の方が「達成していない」「あまり達成していない」と回答しています。
加えて、この制度の問題点として、司法試験の受験資格を得るまでに多額の費用と時間がかかるということです。私たちが合格した旧司法試験制度のもとでは大学の3回生や4回生在学中に司法試験に合格することも可能でした(私は合格できませんでしたが・・・。)。ところが、この制度のもとではどれほど優秀な方でも2年ないし3年間は法科大学院での勉強を余儀なくされてしまいます。この間の法科大学院の学費も決して軽視できない額になっています。
また、私たちが合格した旧司法試験制度のもとでは仕事を続けながら司法試験を受験するということが可能でした。現に合格まで仕事をしておられた方もたくさんおられます。ところが、法科大学院制度のもとでは、夜間大学院が極端に少ないこともあり、仕事を続けながら司法試験を受験するということは事実上不可能になっています。
このような理由から法科大学院への志願者減少に歯止めがかかっていません。
約6割の弁護士が法科大学院の廃止に賛成するというのも、もっともであると思います。
法科大学院卒業を司法試験の受験資格としないなどの制度改正が早急に必要であると思います。
2012年05月29日
神戸新聞「週刊まなび 教えて!先輩!!」
弁護士の富田です。
神戸新聞に「週刊まなび 教えて!先輩!!」というコーナーがあります。
主として中学・高校生を対象に、様々な職業に就いている方を紹介して進路選択の参考にしてもらおうというコーナーです。
一昨日5月27日(日)は弁護士の仕事の紹介で私が取り上げられました。
弁護士になるにはどうすればよいのかといったことや弁護士の仕事のやり甲斐などについて書かれています。
私が司法試験に合格するまでに受験した回数なども書かれており、少し恥ずかしい気もします・・・・。
中学・高校生の進路選択の参考になれば幸いです。
興味のある方は一度ご覧下さい。
2012年05月11日
朝日新聞「法と経済のジャーナル」
弁護士の富田です。
5月10日に、朝日新聞の「法と経済のジャーナル」というウェブマガジンに私の論文が掲載されました。テーマは会社法制の見直しについてです。
会社法制の見直しが議論されていることや、株主の権利弁護団が会社法制の見直しについてパブリックコメントを法務省に送付したことについてはすでに何度かこのブログでも紹介させていただきました。
そして、今回の会社法制の見直しにおいては、多重代表訴訟や社外取締役の選任義務付けなどが検討されており、ガバナンスの強化という意味では望ましい一面がある一方で、特別支配株主による株式売渡請求権など、株主保護の観点から危うい一面があることについてもこれまでこのブログで述べさせていただいたとおりです。
今回私が寄稿させていただいた論文は、株主の権利弁護団が法務省に送付したパブリックコメントの内容を敷衍しつつ、会社法制の見直しについて株主の権利弁護団としての意見を述べるという構成になっています。
興味のある方は是非、朝日新聞の法と経済のジャーナルをお読み下さい。
朝日新聞法と経済のジャーナル
2012年05月01日
神戸オクトーバーフェスト2012
弁護士の富田です。
早いものでゴールデンウィークも前半が終了しました。
現在、神戸ハーバーランドのモザイクガーデンでは「神戸オクトーバーフェスト2012」が開催されています。
オクトーバーフェストとは、ドイツのミュンヘンで毎年9月半ばから10月上旬にかけて開催されている世界最大のビール祭りのことです。
今回、神戸初上陸とのことなので私も昨日行ってきました。
会場では様々な種類のドイツビールが味わえます。味もフルーティなビールから少し苦めのビールまで様々です。
また、ウィンナーやポテトなどのフードメニューも充実しています。
5月6日まで開催されていますので、是非一度行ってみることをお勧めします。
2011年03月06日
歯科医師ワーキングプア問題
弁護士の富田です。
「ZAITEN」という雑誌の2011年4月号では「歯科医 “自業自得”の生活難」と題する特集記事が組まれていました。
ワーキングプア歯科医師の問題については、すでに何年か前から報道されていますが、今回「ZAITEN」でも15頁の分量を割いて特集記事が組まれています。
これによると、現在では就業歯科医師総数の9.5%にあたる9300人程が年間所得200万円以下の“貧困層”であると推計されているとのことです。その原因としては、1970年代に子どもの虫歯が大きな社会問題となって歯学部を増設した結果、歯科医師の数が多くなり、供給過多から過当競争が生じたことにあるようです。
この「需要と供給のバランスを見極めずに短絡的に数を増やす→供給過多になり過当競争が生じる。」という図式は弁護士にもそのままあてはまります。ワーキングプア歯科医師の問題は弁護士にとっても対岸の火事ではありません。
また、「歯科大学・歯学部 『強欲の果て』の経営危機」と題する記事の中では、「歯学部の入学定員数減少に歯止めがかからない。その背景には、歯科医師国家試験の合格率の低さと、莫大な授業料にある。」との記載がありますが、この「歯学部」の箇所を「法科大学院(ロースクール)」に、「歯科医師国家試験」の箇所を「新司法試験」に替えれば、そっくりそのまま法科大学院(ロースクール)の抱える問題にも当てはまります。歯学部が抱えている問題点は驚くほど法科大学院とも共通する部分が多いことが分かります。
興味のある方は是非「ZAITEN」2011年4月号をご一読下さい。
2011年02月28日
兵庫県弁護士会主催市民シンポジウムの報告
弁護士の富田です。
先日2月16日のブログで告知していた兵庫県弁護士会主催の市民シンポジウム(弁護士大増員時代に見えてくる私たちの暮らしの未来を語り合おう~失われるのは「和」の心か?!「やさしさ」か?!~)が2月26日(土)に開催されました。
人がどのくらい集まるのか心配していましたが、結果的に約80名ほどの方が参加してくれました。
そのなかには、司法関係者以外の方も多く含まれており、予想を超える参加者数に驚きました。
シンポジウムでは、まず基調報告と講演が行われ、弁護士数が急激に増加したことに伴う弊害(これは弁護士が被る弊害にとどまらず、司法の利用者である市民の方々が被る弊害も含まれます。)が報告されました。
それに引き続いてパネルディスカッションが行われ、弁護士、新聞記者、多重債務者救済団体の方、中小企業の経営者などがそれぞれの立場から意見を述べられました。その後は会場発言の機会も設けられました。
弁護士数の減員を主張した場合には、既得権益の擁護だとか業界団体のエゴだとかいった批判が新聞の社説などで出されることが多いのですが、この日は弁護士以外のパネリストや会場の方からもそういった声はなく、むしろ弁護士数を急激に増加させることの弊害を危惧する声が多かったです。
シンポジウムは終了予定時刻を30分近く超過するほどの盛況ぶりでした。
是非一人でも多くの方にこの問題に関心を持っていただきたいと思います。
2011年02月27日
急増するMBO
弁護士の富田です。
少し前の記事になりますが、本年2月19日(土)の神戸新聞の記事によると、MBOが今年に入ってすでに6件行われており、過去最多だった平成19年及び平成20年の15件を上回る勢いとのことです。
MBOとは、簡単に説明すると企業の経営陣が自社の株式を株主から買い取ることをいいます。企業の非上場化を目指すときなどに行われます。
このMBOには、上場を維持することによるコストの削減や市場による短期的な圧力を回避した長期的視野に基づいた経営の実現等のメリット等があるとされおり、一定の意義を有していることは否定できません。
しかし、このMBOには多くの問題点が存在することも事実です。
まず、MBOに際しては全部取得条項付種類株式を用いて少数株主を会社経営から締め出すということが行われます。これは、安定して株式を保有し続けたいと願う株主の願いを無視するものですし、自分が希望していないのに株主としての地位を奪うことがそもそも許されるのかという根本的な問題があります。
この問題を措いたとしても、MBOに際しては、取締役は株主から株式を買い取る立場にあることから、出来る限り株式を安く買い取ろうとします。そのため、株式の取得価格を引き下げるべく業績の下方修正等を行う危険性があります。
また、株主と取締役との間には会社経営に関する情報について大きな格差が存在しています。そのため、株主としては、買取価格が妥当であるのかどうかを確かめることは極めて困難です。
私が所属している株主の権利弁護団では、株主の立場からこのMBOの問題に取り組んでいます。
株主の権利弁護団のホームページ(http://kabunushinokenri.com/)をご覧になれば、MBOの問題点についても詳しく書かれています。
また、当事務所の加藤弁護士が昨年9月に朝日新聞のウェブマガジンである「法と経済のジャーナル」にMBOの問題点について詳しく書いてありますので、詳しいことをお知りになりたい方はそちらを参考にして下さい。
これからもMBOには大きな関心を持っていきたいと思います。
2011年02月21日
中華料理レストラン「桃李」
弁護士の富田です。
昨日は、ホテル日航大阪の中に入っている中華料理レストラン「桃李」に行きました。
ここはたまに行くのですが、私が知っている大阪の中華料理レストランでは一番のオススメです。
フカヒレスープ、ほうれん草の炒飯、牛肉の薄餅包み、海老マヨネーズなどのメニューをよく頼みます。
あと、デザートには山芋の飴炊きをよく頼みます。これは大学芋を山芋で作ったもので、一見するとさつまいもで作った大学芋と区別がつきません。味は大学芋よりもあっさりとしていて、こってりとした中華料理を食べた後のデザートとして最適です。
昨日の料理も大変満足しました。また訪れてみたい店です。
2011年02月16日
兵庫県弁護士会主催市民シンポジウムのお知らせ
弁護士の富田です。
今日は、兵庫県弁護士会主催の法曹人口問題を取り扱う市民シンポジウムの打ち合わせのために弁護士会に行きました。
現在、1年間の司法試験合格者数は約2,000人です。これは10年前と比較すると約2倍にあたる数字です。これほど急激に司法試験合格者数を増やしたため、現在では新人弁護士の就職難など様々な問題が出ていることはニュース等で報道されており、ご存じの方も多いと思います。これは単に弁護士が困っているという問題にとどまらず、司法の利用者である市民の方々の利益に直結する重大な問題です。 そこで、弁護士会としてもこの問題を広く市民の方にも知ってもらおうと考え、以下のとおりシンポジウムを企画しました。 入場無料、事前予約不要で誰でも参加できますので是非ご参加下さい!
日時:平成23年2月26日(土)午後1時から午後4時まで
場所:兵庫県弁護士会館本館4階講堂(神戸市中央区橘通1-4-3)
テーマ:弁護士大増員時代に見えてくる私たちの暮らしの未来を語り合おう
~失われるのは「和」の心か?! 「やさしさ」か?!~
お問い合わせ先:078-341-7061
2011年02月08日
東京出張
弁護士の富田です。
今日は、東京に出張してきました。
午前7時17分新大阪駅発の新幹線に乗り、午前10時前に東京駅に到着、
その後東京での仕事を終えて午前11時50分東京駅発の新幹線で神戸に戻る
という、東京滞在時間約2時間のハードスケジュールでした。
本当はせっかく東京まで出張したことですし、ゆっくりと観光したいのですが
なかなかそういうわけにもいきません・・・・・。
時間がないので、昼食は新幹線の中で食べることになります。
私は新幹線の中で食事をするときは乗る前にホームで「美味とんかつお弁当」という
弁当を買って食べることが多いのですが、今日もそうしました。
この弁当はメインのとんかつが分厚く、味・ボリュームともに満足できます。
値段も970円と手頃です。
皆さんも新幹線の中で食事をするときは是非「美味とんかつお弁当」をお試しください。
2011年02月07日
談合防止のための内部統制システムについて
弁護士の富田です。昨年4月にブログを立ち上げて以来初投稿になります。長期にわたって更新が滞ってしまい申し訳ありません。
さて、本年1月30日に、朝日新聞の「法と経済のジャーナル」というウェブマガジンに私の論文が掲載されました。題名は「談合防止のための内部統制システムとは」です。
昨年9月30日に加藤弁護士のブログでも紹介されていましたが、このウェブマガジンには株主の権利弁護団(http://kabunushinokenri.com/)所属の弁護士がそれぞれ自分に興味のあるテーマを寄稿しています。これまでもMBOに潜む構造的な問題点やMBOにおける「公正な価格」、有価証券報告書への虚偽記載などのテーマで様々な論文が寄稿されました。今回は私の順番ということで上記のテーマで寄稿しました。
私は、弁護士登録直後(平成17年10月)に橋梁談合事件の株主代表訴訟の弁護団に加入する機会に恵まれました。それ以来、昨年この訴訟が和解で解決するまでずっと談合防止のためのあるべき内部統制システムとは何かということを弁護団で議論してきました(現在も別の株主代表訴訟で独占禁止法遵守のための内部統制システムが問題となっており、これからもしばらくこの問題と関わりを持つことになります。)。また、平成20年4月からは芦屋市の入札監視委員会の委員に就任し、行政の立場からも談合防止に取り組んできました。これらの経験を踏まえて談合防止のためのあるべき内部統制システムとは何かについて寄稿させてもらいました。
もちろん、そこに書かれた内容は株主の権利弁護団の統一見解などではなく、私個人の意見ですし、内容の間違いも含めた文責は私一人にあります。
興味のある方は是非ご一読いただきたいと思います(「朝日新聞 法と経済のジャーナル」で検索していただければすぐにヒットします。)
2010年04月09日
はじめまして!/富田
ブログをスタートさせますので、どうぞよろしくお願いいたします。