遺言書の作成

1.遺言書を作成する意味は?

遺言書を作成することで、どのようなメリットがあるのでしょうか。遺言書を作成することで、相続に関する争いを事前に防ぐというメリットがあります。また、自分が希望する形で遺産を処分することが出来ます(長男には、先祖伝来の土地を渡したい、お世話になった団体に寄付をしたい・・・等)。このような遺言書の作成についても、当事務所でお手伝いさせていただくことができます。

2.遺言書を作成していないと

たとえば、次のような場合、遺言書を作成していないとどうなるでしょうか?

ケース1(夫婦だけで子供がいない)
長年連れ添ったAさん夫妻には、子どもがいませんでした。夫には、自宅、貯金などの財産があり、自分の死後は、当然妻がこれを引き継ぐだろうと考えていました。夫は、遺言を残さないまま亡くなりました。この場合、妻が相続人になるのは当然ですが、相続をするのは妻だけではありません。もし、夫の親がご存命であれば、相続割合は、妻2/3、夫の親1/3となります(民法900条②)。また、親が既に亡くなっている場合、相続割合は、妻3/4、夫の兄弟姉妹が1/4となります(民法900条③)。こうなると、妻は、夫が残してくれた自宅や貯金について、夫の親あるいは兄弟姉妹と遺産分割の協議をしなくてはならなくなります。妻にとっては、非常に煩わしいことだと思います。

ケース2(自営業者)
自宅で工場を経営しているAさんには、3人の子供がおり、長男が工場の後継者となっていました。Aさんには、工場の土地建物の他に、預貯金等の財産もありました。Aさんは、遺言を残さないまま亡くなりました。さて、相続人である3人の子供は、工場の土地建物・預貯金について、全て共有することになってしまいます。工場の後継者ではない次男三男は、工場の土地建物を売り払ってお金にしたいと考えたとしましょう。こうなると、工場を使い続けたい長男と売却してしまいたい次男・三男との間で紛争になってしまうでしょう。もし、遺言で、長男には工場の土地建物を相続させ、次

3.遺言書の種類

遺言書の種類は、大きく分けて自筆証書遺言と公正証書遺言があります。

①自筆証書遺言
自筆証書遺言とは、遺言者が自筆して作成する遺言です。ワープロで作成することは出来ず、全文、日付及び氏名を自書し、押印する必要があります(民法968条1項)。

メリット デメリット
  • 自分で作成できるので、費用がかからない。
  • 紛失・偽造などの危険がある。
  • 遺言内容が不明確である、遺言時に判断能力がなかったなどとされ、遺言の効力を争われることがある。
  • 検認(家裁で遺言書の内容を確認保全する手続)が必要。

 
②公正証書遺言
公正証書遺言とは、法律で定められた方式に従って、公証人役場で、公正証書によって作成される遺言です。

メリット デメリット
  • 公証人が原本を保管するので、紛失・偽造の危険がない。
  • 公証人が関与するので、遺言の効力が問題となる危険が少ない。
  • 検認が不要である。
  • 手続きが面倒であり、公証役場に支払う費用などがかかる。

4.遺言書作成時の留意点

遺言書でしばしば見受けられるのが、趣旨が不明確なものです。遺産の特定が不明確であったり、遺産の分け方についての記載が不明確であったりすると、せっかく遺言をしてもそれが無効であるとされたり、記載の解釈をめぐって無用の紛争を招きかねません。このような問題を防ぐために、専門家である弁護士が遺言書の作成をお手伝いさせていただいたくことが可能です。

5.遺言執行者について

上記のように遺言書を作成した場合、その遺言書通りに遺言を実現させるためには、遺言執行者を指定することをお勧めします。遺言執行者とは、遺言の内容を実現する事務を行う権限を持つ者のことです。遺言執行者の指定は、遺言の中ですることができます(民法1006条1項)。遺言執行者を指定していれば、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げる行為をすることができず(民法1013条)、遺言執行者がいるにもかかわらず相続人が相続財産を処分しても、無効とされます。

このため、遺言の内容を確実に実現させるためには、遺言執行者を指定することをお勧めします。遺言執行者を弁護士とすることもできます。専門家である弁護士を遺言執行者とすることで、より円滑に遺言を実現させることができます。

6.費用について

(1)遺言書作成
内容が複雑ではない定型的な遺言書については、10万5000円~21万円で作成可能です(ただし、公正証書遺言作成の場合の公証人役場への手数料は、これとは別に発生します)。

(2)遺言執行
遺言執行の費用については、遺産の額によって手数料が異なります。300万円以下については、31万5000円、300万円を越えて3000万円以下の部分は、これに2%を加算、3000万円を超えて3億円以下の部分は1%を加算して算出させていただきます。

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  1. 弁護士の富田です。

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